ASAPでは本当に必要なところに支援が届くようにと、年2回の視察訪問を続けています。その結果見えてきたことがあります。それは、教室が増えても、経済的に最貧困の家庭の子供は労働の為、あるいは制服や文具が買えない為に、学校に来る事が出来ないという現実です。
村の生活は大変貧しく、自分達の食べるだけの米を収穫する以外に収入の道はなく、現金収入はほとんどないという状態です。入学した子供も貧困の為に4年生までに学校をやめていきます。
現地のお母さん達が現金を得る方法として、子供たちが幼稚園や学校で使う小物を作って販売する活動を始めました。電気がないために全て針と糸による手縫いですが、自分達でお金を稼げるという喜びで村のお母さん達はやる気満々です。縫い物は子供が在学し、中でも貧困家庭のお母さんにお願いしています。
布は日本から運んだものを使い、日本に届いてからボランティアによる洗濯とアイロンで仕上げています。買い取り価格は直接お母さん対と相談をして取り決めました。「ミシンに負けずに!」という言葉を目標に縫いあがった品は本当にすばらしいものです。
ASAP現地事務局のコンさんは、ポルポトの虐殺で父親が殺された為村の中でもかなり貧しい生活を送らなければなりませんでした。しかし裕福な家庭で育ち教育の大切さを知る彼の母親は道で物を売りながらも、3人の子供の教育を諦めなかったそうです。その結果、コンさんをはじめ兄弟は現在しっかりとした生活を送る事が出来るようになり、今では村の中でも豊かな家庭となっていると伺いました。
コンさんの体験からも解るように、カンボジアの貧しい地区の小学校の就学率を上げ、中退者をへらすためには、まず親の考えを変えていくことが大切になります。
縫物を担当してくれているお母さん達は、内戦の為に教育を受ける機会を奪われ、全員字が読めなければ計算もできません。
この「裁縫プロジェクト」は、貧困家庭に仕事を見つけて現金収入の道を開くことが出来る上、訪問時にお母さん達と会い、「子供を学校へ」と直接働きかけることが出来できます。これは大変有意義なことと考えられます。
プロジェクトが始まって一年ですが、お母さん達の意識はかなり変わってきているといいます。現在はタットム校のみで行なっていますが、トロク小の先生達から「トロク小でもお願いします」と要望されています。ASAPとしては嬉しい申し出なのですが、多摩川幼稚園一園では、必要な小物の量も限られます。
そこで、小学校向けの小物の製作、体操着入れ、ナフキン入れ、上履き入れの製作販売を始めました。小さな試みですが、日本の母とカンボジアの母が手をつないで助け合っていくこのプロジェクトを、少しずつ広げていければと思います。
ミシンではなく手縫いの商品ですが、皆さんに必要なものを購入して頂く事が直接の支援になります。同じアジアの国に生きる母親として助け合いの手を差し伸べていただければと思います。
|
Mother to Mother Shopは こちら |
|